「ドニントン1000kmレース」
野田英樹&ヨハンソン組、トップを快走するものの、
クラッチトラブルに泣く。
LE MANS SERIES 1000 KM
Round: 第4戦
Date: 06年8月26日〜27日
Circuit: イギリス ドニントンパーク
ルマン24時間レースへの道を開く、全日本スポーツカー耐久選手権シリーズ「ジャパン ルマン チャレンジ」にHITOTSUYAMA RACINGのDUNLOP Zytek05Sで参戦中の野田英樹は、英国、Zytek本社のワークスドライバーに抜擢され、7月15〜16日にドイツで開催された 「ルマン シリーズ 第3戦 ニュルブルクリンク1,000km」に引き続き、8月26〜27日にイギリスで開催された「ルマン シリーズ 第4戦 ドニントン1,000km」に参戦しました。
今回は野田にとって第二の母国ともいえるイギリスでのレースでもあり、万全を期す意味で早めにイギリス入りして優勝を狙いました。今回のチームメイトも、前回同様、元F1ドライバーのステファン・ヨハンソンです。
土曜日のフリー走行1回目は、あいにくのウェット路面ではありましたが、野田が積極的なアタックを続けてトップタイムを連発しました。しかし路面が乾き始めた段階でコースアウトをしてしまい、結果的にはフリー走行1回目は8番手で終えました。
「マシンのフィーリングはドイツよりいいですね。ミッションも格段に進歩しているし、エンジンのバーションもアップしている。やはりワークスです。
濡れた路面ではトップタイムでしたけど、スリックで走り始めた段階で、F3時代の感覚で高速コーナーを全開でトライしてみたんですけど、無理でしたね(笑)」と野田英樹。幸いマシンにダメージはなく、午後のフリー走行2回目は、トップタイムをマーク。予選に期待が高まりました。
予選は、前回同様、ステファン・ヨハンソンが担当。無理ない走りで2番手をゲットし、フロントロウからのスタートとなりました。
決勝当日、天気予報は不安定な空模様を予想しており、午前中は時折低く暗雲がたれこめたりもしましたが、決勝レースが始まる頃には、太陽が照りつけ、緑豊かなドニントンパークにふさわしく、すがすがしいコンディションとなりました。
決勝レースのスタートでトップを奪ったのは、野田英樹です。白煙があがるハードブレーキングで1コーナーのイン側から前を行くクラージュをパス。しかし、予想外に気温が上昇したことが、ザイテックにとって裏目に出ました。チームは前日の予選でヨハンソンがチョイスしたソフトコンパウンドのタイヤを選び、そのタイヤでスタートを切った野田は、急激にグリップダウンするタイヤに手を焼き始めていたのです。
スタートこそ意地でトップを奪ったものの、次第にポジションを落とし、15周をすぎた頃には7番手までドロップ。「タイヤをいたわって走ったけど、すぐにグリップが無くなって、ブレーキングで全然止まらない」と、無線で訴える野田。タイヤチョイスのミスではありましたが、なんとかラップタイムを大きく落とすことなく周回を重ね、後半に賭けました。
スタートから約1時間経過した37周目、野田からヨハンソンにドライバーチェンジ。38周終了時点では、ハイペースで飛ばす#17 ペスカロロがトップを快走し、#2 ザイテックは9番手でコース復帰。タイヤを交換したヨハンソンの駆る#2 ザイテックは勢いを取り戻して上位を狙いました。ヨハンソンはそのまま2スティントを走り、再び野田にチェンジする頃には、3番手までポジションを復帰させていました。
ヨハンソンから交代した野田はベストラップを更新しながら、難なく2番手に浮上。そのまま勢いよくトップを追い上げます。124周終了時には、#17 ペスカロロとの差を12秒にまで縮め、さらにペースを上げて走行を続けました。
130周目、その差9秒。#17 ペスカロロも#2 ザイテックを意識してペースを上げ始めましたが、野田は容赦なくその差を縮めていきました。
133周目、#17 ペスカロロが周回遅れに引っかかる間に、前周に10秒あった差を、一気に5秒1まで詰めた野田。続くラップで4秒4まで縮めますが、138周でルーチン・ピットへ。
野田はそのままガソリン補給のみでピットアウト。3番手でコースに復帰し、再び追い上げを開始しました。次々と周回遅れをパスしながら、2番手まで浮上。そして157周目、トップから47秒遅れだった野田は、#17ペスカロロのルーチン・ピットによるロスタイムの際にベストラップを更新し続け、見事逆転、トップに浮上しました。
しかし、ペスカロロのコラールも素晴らしい走りで野田を追い、2台はまさにテール・ツー・ノーズでのトップ争いを繰り広げます。162周目には、いったんコラールが野田をかわしましたが、その周のメルボルンヘヤピンで、再び野田がコラールのインを奪いトップを死守。そこからまさに、2台は死闘とも呼べるハードバトルを展開。各コーナーごとに周回遅れを挟んだ接戦を展開し、場内も大いに沸きました。170周をクリアしても、その差は0秒4という壮絶なバトルです。
174周終了時点で、野田がトップのままピットへ。ヨハンソンに交代し、ガソリンを補給。
そしてタイヤ交換をしてピットアウトというタイミングで、なんと左リヤタイヤが外れないというトラブルが発生。ホイールをロックするピンが焼きついて外れなかったのです。その作業に約3分30秒を費やし、コースに戻った時には1周遅れの3番手となってしまいました。
しかし諦めることなくヨハンソンは追い上げを開始します。トップを上回るタイムで周回を重ねていきました。しかし、184周目、ザイテックは突然白煙をあげてスローダウン。
ピットガレージに戻り、そのままリタイアとなってしまいました。
●トレバー・フォスター(Zytek チーム代表)
「ヒデキは素晴らしいスタートをみせてくれたし、ヨハンソンもコンスタントな追い上げで、タイヤチョイスのミスを充分にリカバーしてくれた。
レース終盤のヒデキのバトルは、勝利への執念を感じさせるものだった。世界のトップドライバーのひとりとして充分なポテンシャルを持ったドライバーだと、改めて感心したよ。残念ながら、最後はヨハンソンのドライブ中にクラッチが破損し、オイルタンクを突き破ってしまうという初めてのトラブルでリタイアとなってしまったが、今回のレースは我々のポテンシャルを充分に示したレースだった」
●野田英樹
「スタートはかなり限界ギリギリのブレーキングでトップを奪ったのですが、タイヤの選択ミスで序盤は苦しい戦いを強いられました。丁寧に走ってもたせようと努力したのですが、まったく意味がないほどグリップが急激に低下したので、走り方を変えて、とにかくアベレージのラップタイムを落とさないように最初のスティントは我慢、我慢のレースでした。ステファンがいい形で2スティントを走ってくれたあと、自分は追い上げるだけが仕事だと決めて、絶対にトップに戻ってやるという気持ちで走っていましたし、トップを奪い返してからは、絶対に抜かれないつもりで走っていました。前戦のドイツに比べても、今回のマシンは素晴らしく良かったし、チームはこの数週間のあいだに素晴らしい仕事をしてくれました。それに応えるべく、思い切り走っていいレースができたという気持ちと、結果的にまたトラブルで終えたという残念な気持ちと、ちょっと複雑ですね。ただ、ドライバー個人としては、充分なパフォーマンスが見せられたと思います。
今回の参戦を応援してくれたヒトツヤマレーシングの皆様や、前戦同様に支援してくださった株式会社シスコ・アセット・マネージメント様、株式会社栄光(栄光ゼミナール)様をはじめとする多くのスポンサー様、そして僕を応援してくれるイギリスのファンや、日本のファンの皆様に、感謝の気持ちでいっぱいです」
●ステファン・ヨハンソン
「予選で使ったスーパーソフトのタイヤが、決勝のコンディションで合わなかったのは残念だった。勝てるレースだと思った矢先のトラブルだけに、言葉も出ないほど残念だ」

























